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自閉スペクトラム症

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)

典型的な自閉症を含めて、軽度の自閉症などの特徴を持つ状態の総称です。
行動やコミュニケーションなどに問題がある障害であり、手先の不器用さや大きな音などが苦手な感覚障害なども伴うことがあります。

以前は、広汎性発達障害とも呼ばれており、その中に自閉性障害、アスペルガー症候群など5つの下位分類に分けられていました。しかし、発達障害の研究が進むにつれて、自閉的な特徴は、重症例から計症例、さらに一般集団へと連続的に分布していることが分かってきて、連続体(スペクトラム)と考えられるようになり、DSM-5分類から自閉スペクトラム症と呼ばれれるようになりました。

ASDの診断基準は下記の表のようになっています。
表のように「社会的コミュニケーション」と「限局された行動・興味」の双方に困難さがあって、その困難さが早期(幼児期)から現れて、社会的活動がに支障がある場合にASDと診断されます。

この文面ではイメージがつきにくいと思います。実際には幼稚園や保育園でのお遊戯などの集団行動が苦手さや、友人ができず一人遊び、自分特有のルールやルーチンがあり、そのルールやルーチンの邪魔をされたりすると癇癪を起こしたり、大きな音が苦手だったり、強い偏食があるようなことがASDの児童によく見られます。そのため本人を含めて家族などの周りの人の生活にも支障が出ることがあります。逆に言えば、自分や周囲の生活に支障がない様でしたら、それは個性の一部として捉えられます。

DSM-5から、ASDとA D H Dの両方の診断名をつけることが可能となっています。

日本語版DSM-5における自閉スペクトラム症(ASD)の診断基準

A.社会的コミュニケーション領域
  1. 対人的、情緒的関係に困難がある
  2. 非言語コミュニケーションを用いることが困難
  3. 人間関係を発展させ、維持することなどが困難
B.限局された行動、興味の領域(少なくとも2つ当てはまる)
  1. 常同的または反復的な行動(玩具を一列に並べる。単調な常同運動、反響言語など)
  2. 同一性への固執(小さな変化に対する極度の苦痛など)
  3. 極めて限定された興味(一般的ではない物への没頭など)
  4. 感覚刺激に対する異常反応(特定の音や触覚に対する過敏さ、または鈍感さ)
C.症状は発達早期に存在していなければならない
D.その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に、臨床的に意味のある障害を引き起こしている。

E.これらの障害は、知的能力障害または全般的発達遅延ではうまく説明されない。

知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力雨障害の併存の診断を下すためには、社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない。

日本精神医学会監修:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き。医学書院. 2014 p26-29を改変して引用

日本精神医学会監修:DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き.医学書院. 2014橋本圭司. 青木瑛佳: 神経発達症/ 発達障害のサインと判定法

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