院長コラム 83 2022 11 28#発達障害へのキレーション療法の話
#発達障害へのキレーション療法の話
当院で行っている発達障害の生化学的治療の中でキレーション療法というものがあります。
キレーション療法とは、体の中の有害重金属(水銀、鉛など)をキレート剤を使って体の外へ排泄する治療です。
キレート剤の分子構造式がちょうどカニの爪(ギリシャでキール)のように有害重金属を摘みとっていう様からキレーション療法という名前がつけられました。キレーション療法自体はすでに60年以上の歴史がありますが、まだその効果に関しては研究中のところが多いです。2013年に米国医学会雑誌:JAMAでEDTAを使用したキレーション療法は心筋梗塞再発予防効果があるなどの報告が出てくるようになりましたが、発達障害に対してのキレーション療法の大規模な研究報告はまだありません。
しかし、DOHaD理論(胎生期や幼児の環境的影響がその後の病気の発生に影響を与える)や鉛と知的能力の関係性や水俣病などの疫学的調査から有害重金属は脳の発達や働きに悪影響があることがわかっていますので、キレーション療法の適応のある方の場合は効果が期待されます。(ただ、発達障害は多因子遺伝疾患ですので有害重金属だけが原因でないためキレーション療法が全てに効果があるというわけでないことをご理解ください。)
キレーション療法は、効果が期待される反面副作用(電解質異常、不整脈、腸内環境悪化等)が発生する可能性がありますので、きちんとキレーション療法の専門的講習を受け治療経験のある医師の監督のもとで行うことをお勧めします。ですから絶対に、専門家以外の治療や自己流でのキレーション療法を行うことはやめてください。
今後、キレーション療法に対しての説明動画を作成する予定です。
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発達障害の内科的治療の手引
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本の紹介動画です。
引用・転載禁止のお願い
統合的発達支援システム; Integrative Development Support System: gyousei IDeSS(アイデス)の章は全て引用・転載を禁止致します。
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またこのアイデスは、池田が個人的に使用しているシステム名であり、現在システムの内容も構築中であるので、勝手にこのアイデスの呼称を使わないでください。
注意事項 免責事項
様々な情報がインターネットなどで散見されます。その中には、極端な食事療法や薬剤の使用等などもあります。長男に施した、生化学的治療は、患者個人に合わせたサプリメントを始めとした調整や、生活全体に対して包括的に指導を行う必要があります。生化学的治療を行う場合は必ず専門家の指示にしたがって治療を行ってください。
現在紹介している治療内容等は、掲載時の知見に基づいているものです。今後治療内向の変更等がある場合があることをご了承ください。自己流での治療や、医療関係者以外が提供する治療を行った場合は、効果がないばかりか逆に、危険な有害事象が発生することがありますので注意が必要です。また、自分のお子さんのことなどで、疑問に思うことはかかりつけの医師にご相談ください。