注意欠如・多動症: ADHD
注意欠如・多動性症(Attention-deficit hyperactivity disorder: ADHD)
DSM-5からADHDの日本語訳は、注意欠如・多動症と行く形になりました。
ADHDの児童は不注意や多動などの行動が特徴的に見られます。
そのため、普段から落ち着きがない、集中力が続かない、気が散りやすい、忘れ物が多い、片付けられないなどの不注意さや、列に並んで順番が待てなかったり、目についたものをつい手に取ってしまうなどの衝動的な行動をしてしまうことがあります。
上記の様なものも程度が軽いなら、定型発達児童でも見られるものですが、日常生活がそれらの諸症状によって本人や周囲の生活に支障が出るような事があれば、適切な介入(援助や支援)を行う必要があります。なぜなら、ADHDは、児童本人や周囲へのアドバイスなどの、本人や周囲の理解や環境調整で様々な困りごとが減っていく可能性があるからです。
この様なこと良く観察されるのが小学校の学期の始まりの時期です。進級により担任の先生が変わることでADHDの児童の問題が改善したり悪化することがよくあります。ですので、児童の特性を理解した上での適切な対応がとても重要になります。
ADHDの診断
診断は表の様な診断基準に当てはめて診断します。
診断は、「不注意型」もしくは「多動性/衝動性型」と二つの症状がある「混合型」と分けられます。二つ以上の状況(例えば自宅と学校)で、症状が6ヶ月以上に認められるということがポイントです。
また、ADHDは発達上の問題ですのでBの様にいくとかの症状は12歳までに見られとしています。
日本語版DSM-5におけるADHD診断基準
A1.以下の不注意症状が6項目(17歳以上では5項目)以上あり、6ヶ月以上に渡って持続していたことがある。 |
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A2. 以下の多動性/衝動性の症状が6項目(17歳以上では5項目)以上であり、6ヶ月以上に渡って持続していたことがある。 |
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B. 不注意、多動性/衝動性の症状のはいくつかは、12歳までに存在していた。 |
C. 不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは2つ以上の状況(家庭・学校・職場・社交場面など)で存在していいる。 |
D. 症状が社会・学業・職業機能を損ねている明らかな証拠がある。 |
E. 統合失調症や他の精神障害の経過で生じたのではなく、それらで説明することもできない |
診断
混合型 | 2つ症状が混合して存在(過去6ヶ月間A1・A2の両方を満たす) |
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不注意型 | 主に不注意の症状が存在(過去6ヶ月間A1のみ満たす) |
多動性/衝動性型 | 主に多動・衝動性の症状が存在(過去6ヶ月間A2) |
日本精神医学会監修:DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き. 医学書院. 2014 p30-34を改変して引用
参考文献
日本精神医学会監修:DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き.医学書院. 2014橋本圭司. 青木瑛佳: 神経発達症/ 発達障害のサインと判定法